人は少なからず、自分を育ててくれた両親に、物の考え方の影響を受けます。
知らず知らずのうちに、その考え方の殻(から)に閉じ込められています。
確かに、確立された思考パターンの中で生活していると、人は一種の安心感が得られます。
でも、ここには危険が伴(ともな)います。誤った物の考え方があったとして、自分でそれを判断できないと、誤った道に進んでしまいます。
 青年期に差し掛かると、反抗期が訪れます。自分で何でもできる自信が持てるようになると、何かにつけて、とにかく反発したくなります。
私には反抗期がほとんどありませんでした。そのため、こころの成長が、ほかの人よりも遅くなってしまったかもしれません。でも、私はこれはこれでよしと考えています。
 私は両親が教員という、特殊な環境で育ちました。私の両親は、自分の考え方に絶対的な自信を持っていました。そして子供の私に、絶対服従を命じました。
小学2年生のとき、絵のコンクールに出品したことがあります。そのとき、私の母親は「あなたは背が高いので、入賞したときに年齢を疑われないように、1歳年上にして応募しなさい」と言いました。私はそのいいつけを守り、1歳年上にして出品して、みごと入賞しました。そのとき、公平に審査されるように、母親に「実年齢で応募したい」と言えたら、どんなに良かったことでしょう。
 私の父親は、宝くじが好きで、30年間ジャンボ宝くじを買い続け、最高5万円に一度だけ当選しました。収支を考えると、支払いのほうが圧倒的に多く、損をしています。父親はジャンボ宝くじで1等を当てることが夢でした。その夢を、今度は私にたくしました。
ジャンボ宝くじで1等が当たる確率は、約1200万分の1で、これは、「限りなく0に近い」確率です。
最初、私は父親に影響され、ジャンボ宝くじではなく、ロト6を買い続けていましたが、最近では、そんなものにお金を使うよりも、仕事でお金を稼ぐことの方が大切だと思うようになりました。宝くじは「夢を買うもの」と割り切るようになりました。
 自分を信じて目覚め、自分なりの物の考え方を確立することは、とても大切なことです。
自立するとは、自分で自分の選択した道に責任を持つことでもあります。これは、なかなか厳しいことです。
人は、精神的にも自立して、はじめて大人になります。
両親から受けた物の考え方をもう一度、自分の中で消化して、新たな見解でその呪縛(じゅばく)から逃れることは、とても大切なことだと思います。

それでは、また。

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